『砂の女』
安部公房の『砂の女』を読んでから映画版も見たいと、ずーっとずーっと思っていて。
でもどこを探してもビデオもDVDも見つからなかったんです…。
もう何年も見たい見たいと思いつづけて今日にいたるわけでしたが。
東京国立近代美術館フィルムセンターで「映画の中の日本文学」なる企画が開催されていて、おー面白そう、何が上映されるんだろうってHP見ていたら、
なんと上映リストに『砂の女』が!!!!
しかも上映日がちょうど仕事が休みで、もう奇跡のようなめぐり合わせ。見に行くしかないでしょ!ということで、本日行ってきました。
フィルムセンターはDVD化されていない古い名作映画を上映してたりするんで大学の頃はよく行っていました。
新しい映画より過去の映画の方が「見たい!!」って思うものが多くて。
私の周りに古い映画に興味のある人がいなかったのでいつも一人で行ってたし、実際フィルムセンターに来ているお客さんはほとんど60歳以上。『砂の女』を見に来てたのも20代なんて4人くらいしかいなかったんじゃないかな。
だけど小さい子供とかバカップルとかがいない、映画を愛する人たちだけの静かな空間での映画鑑賞はとてもいいもんです。お気に入りの場所です。
待ちに待った『砂の女』鑑賞。
小説を読んで、これを映像化するのは無理でしょう、と思ってましたが、
原作の雰囲気を壊すことなく見事に映像化されていました。
本当に砂が生きてるみたいで、不気味であり美しくもあり。
画面いっぱいの砂にぽつんと一人の男。なんてシュールな画なんでしょう。
砂に覆われた村。アリ地獄のような砂の穴の底に暮らす女。
こんなありえない状況を、現実にそんな暮らしが存在してるんじゃないかと思うくらい完全に映像化していました。
これは一体どうやって撮影したんですかね???
1964年の映画とは思えないほどの迫力でした。
女の役は岸田今日子でしたが、正統派の美人じゃないところが絶妙でしたね。
これがものすごい美人の女優さんだったら成立しないんですよね。
美人だったら誰でも喜んで砂の穴に居つくでしょうからね。
全身にまとわりついてくるような砂。見ていてお風呂に入りたくなりました。
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